美柳ちなみ

  • 美柳ちなみ

逆転裁判3に登場する人物。
初登場は第1話、主人公でありこの話での被告人、成歩堂龍一の亡き師匠、
綾里千尋が弁護を行った裁判で証人として証言台に立った。
事件当時成歩堂と交際中。
また、被害者呑田菊三とは半年前まで交際しており、第一発見者のひとりとされていた。
たおやかな佇まいと周辺に蝶が舞い、清楚な雰囲気で裁判長や検事を惑わせる美女……なのだが、

その実態はまさしく悪女と呼ぶにふさわしいものであり、
これは筆者の主観だが、1〜3までという括りで見れば、
登場する犯罪者の中でも最凶の一角は間違いなく彼女だと思う。

千尋によって証言の矛盾を次々と暴かれて
最終的に自分が呑田を殺害し、更には成歩堂を毒殺しようとしたことを認めて、有罪判決を受けた。この時二十歳

作中時間でさらにその1年前に脱獄した死刑囚、尾並田美散が引き起こしたとされる殺人事件、
千尋が担当した初めての事件の目撃者としても証言台に立っている。
この時、殺害されたのは義姉であり、尾並田の死刑判決を決定づける証言をした美柳勇希だったが・・・・・・

そこからさらに5年遡って14歳の頃、2億円相当のダイヤの原石を宝石商だった父親から奪うために勇希、家庭教師だった尾並田と共に狂言誘拐を企てた挙句尾並田を裏切り、
勇希の発砲に合わせてダイヤごと激流の川へと飛び込んで死んだように見せかけて
尾並田が強盗殺人、誘拐諸々の罪で死刑判決を受ける原因を作り上げた。
この時に死んだとされていたが実際は生きていて、義姉とは連絡を取り合っていたと思われる。

5年後、勇希に何故裏切ったのかを問いただそうとした尾並田からの連絡を受け、良心の呵責に苛まれた勇希によって世間にこの事件の真実を公表することを相談され、
口封じのために勇希を殺害。尾並田にその罪を再び着せようとした。
なお、この事件は最終的にちなみの殺人を完全に立証する一歩手前まで来ながら、
最後まで彼女を裏切ることができなかった尾並田の服毒自殺によってウヤムヤで終わってしまい、
千尋と担当検事だった御剣怜侍にとって非常に辛い思い出となってしまった。

この事件の事情聴取を行った千尋の恋人であり、当時所属していた事務所の先輩弁護士である神乃木荘龍を毒を盛って殺害した容疑がかけられていた。
(もっとも、神乃木は死んではおらず昏睡状態に陥っていただけなのだが……)
先の呑田は薬学部の学生であり、そこから盗み出した毒を使用したことが明らかになっている。
また、その時に容疑を逃れるために毒の入った小瓶を成歩堂に押し付けて交際がスタートしたことも明るみに出ている。

ここまでで完全に立証したものと容疑を含め殺人と殺人未遂が合わせてなんと4件
一人の自殺に関与、窃盗、狂言誘拐、それに伴う脅迫と偽証と容疑を抜きにしても枚挙に暇のない悪行を重ねており、まさに罪状のデパート。

現実の日本の司法制度では3人殺せば死刑の可能性は非常に高いとされている。
彼女の場合14歳での狂言誘拐、19歳時の義姉の殺害、
二十歳時の神乃木弁護士の毒殺未遂に、
呑田の殺害と成歩堂殺害未遂、
どれもこれも犯行の動機や経緯は極めて自己中心的且つ証拠の隠滅を行っており、
事件時の行動が悪質そのもので情状酌量の余地はなく、
また年齢を踏まえても更正は考えにくいことから、
これら全てが仮に完全に立証されたとして、現実の法制度と照らし合わせてみると、
素人考えであっても死刑判決は確定的であり、
作中でも死刑判決を受けて執行されたことが言及されている。

と、ここまでで終わらないのがこの女の恐ろしいところ。
彼女の死後、倉院流霊媒道のお家騒動とも呼ぶべきものにて、
新しい事実が明らかになるとともに、倉院流霊媒道を利用した凶行に及ぶ事となる。

彼女の本当の正体……それは、
弁護士として彼女の罪状を暴いた綾里千尋の妹で、現在の倉院流霊媒道家元の筆頭候補に当たる綾里真宵に殺人の罪を被せようとして、霊媒を悪用してとある医者を殺害した女との共犯で逮捕、投獄されている千尋真宵の伯母綾里キミ子の長女。
つまりここまで何度も成歩堂霊媒能力で助けてきた真宵の従姉妹である綾里春美の異父姉に当たる。
恐らく出生時の本名は綾里ちなみということにになる。

ただし、作中の描写を見る限り千尋真宵姉妹との面識はなかったらしく、お互いが従姉妹だという事は知らなかったように見える。
キミ子と同じように霊媒師の才能がないために母親からは冷遇されていたらしく、作中時間で17年前に発生したDL6号事件と呼ばれる殺人事件で綾里家の権威が失墜した時に両親は離婚、双子の妹であるあやめと共に父親に引き取られた。
あやめはその後葉桜院と言う霊堂へ行く事になるが、ここで美柳家に残ったことで性格が歪んでしまったとあやめは述懐している。

春美を倉院流霊媒道の家元にするべく、彼女が姉のように慕う真宵を殺害する計画を立てたキミ子の指示で、実行犯として春美霊媒で呼び出される手はずになっていた。
犯人は死んでいるちなみだから春美は罪に問われることはないというものだが、こう考えると娘の死ですら計画に入れてまで家元の地位を得ようとするその執念は恐ろしいものがある。

実際にはこの暗殺計画を察知した人物達によって結果的に死者が一人(覚悟の上だったとは言え)出てしまったが、最終的には真宵は無事に生還した。
その後、霊媒された姿で証言台に立ち、犯行当時やその後の行動のおかしな点からターゲットである真宵の殺害に失敗したことをかつての恋人だった成歩堂に暴かれた上、
春美霊媒で呼び出された従姉妹であり復讐の標的だった千尋にこっぴどくプライドを傷つけられて、悪魔の如き形相を残して霊界へと戻っていった。

死してなお母親との利害関係の一致と千尋への復讐のために真宵殺害に動き、
死んでいるために罪には問えないと開き直るわ、ここまで来ると悪女ではなく、もはや悪霊であり、
死後に罪状が増えたことで閻魔大王もお裁きに困ったに違いない。